【3】「きもの のはなし」

<<第36回 無料着付け教室のはなし >>

テレビCM等で有名な「無料着付け教室」。 知り合いも通っていたので、業界人としてコメントしましょう。 景気低迷の中、和服を広く宣伝しているのはウレシイことですが、気を付けないといけない点もあります。 ネット上に体験談やアドバイスはたくさんあります。参考にhttp://nihonwasou iku4.htm/

◆その1 当たり前ですが、無料で教わる代わりに和服の購入をすすめられる。
◆その2 有名なので安心感を持ってしまいますが、先生も多いので「合う合わない」(相性)がある。

まず、誤解してはいけないのは、和服の購入による仲介手数料で成り立っている「ビジネス」です。 無償ボランティアと思ったら大間違い。(正直に、小さく明記されています)当たり前ですが、 このシステムを甘く見たりお得かな、と感じてしまうのは危険です。 当店では和服を購入した人やレンタルした人に、着付けを無料・優待料金で引き受けています。 また、簡単に教えることもありますが、家業店だからできること。 着付けの先生に依頼する場合には、適正な謝礼は必要です。 「無料着付け教室」は、大がかりな宣伝費や人件費、場所の確保、設備費などかかっています。 「和服の購入」に際しては販売価格に疑問を持ちましょう。 すべての経費が上乗せしてあると考えてください。

さて、着付け教室には相性も大切です。知り合いに聞くと、雰囲気を重要視するとか。 経験談として、ある教室は仲間うちのダラダラした雰囲気で上達できなかった、 かといってマンツーマンは恐い、それで「カリキュラムがしっかりしていて、同じレベルの生徒がいるほうが安心」だと聞きました。 大規模な教室ならその点は有利といえます。しかも、 せっかく抽選で当たったので(無料教室は人気あるんですね)行ってみて判断するという結論でした。

◆気になる内容は
気軽に教える姿勢と、しっかり和服購入を勧める姿勢。このバランスが素晴らしいようです(笑)。 仕入先を加盟店とよんだり、雑談のように商品説明や紹介を入れながら販売につなげているとか。 (質疑応答のカタチも親切に感じられますねー)…これらは商売と表裏一体の演出です。 さらにコースが終わった後も、引き続き勉強会やお出かけ会をおこなう 「顧客囲い込み」制度があります。こうした努力(笑)で、 生徒の和服の購入率は50%!これは業界として高水準です。 いっぽうで、販売価格には驚いたそうです。実物をみての勉強&販売会をセミナーといいかえて、 ローン契約で購入させるそうです。 さらに、セミナー以外にいつでも売れる用意がしてある。
もっとも、このビジネスを考えた人は「したたか」だなぁと思います。 無料という飴で集めて、先生と親しくなったところで(断りづらい関係を利用して)着付けより 何倍も大きな報酬を引き出すわけですから。 また、業界のしがらみ(モラル?)を断ち切ったチャレンジ精神もあったでしょうね! 有料の着付け教室から見たら迷惑でしょうから。

◆着付けの本筋
糸美屋が考える着付けの本筋は、どのような場合でも確実に綺麗に仕上げること。 もちろん着装時間も守ること。 当店では「免状」や「○年間通ったこと」は目安に過ぎません。 実際の経験回数がたいせつだと考えています。ですから、○○流のやり方しか出来ないとか、 習った道具を使わないと出来ないのではダメ。お客様にあわせて柔軟に融通がきくこと。 それで初めて「着付けができる!」と公言しています。

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