【3】「きもの のはなし」

<<第38回 失敗談、かな?>>

今回は失敗してしまったハナシです。10年も前のことですが、 珍しいケースだったので印象的におぼえています。

ある日、ぶらりと立ち寄られた中年の女性、見た目は50台。 何か用件がある訳でもなく、ちょっと見せてねという感じで店内にはいってこられました。 適当に眺めながら少し雑談(天気がよいわね、という位)した後、こう質問されました。 「1万円で揃う着物ってない? あったらいいのに。」 普通におっしゃられたのですが、即答できませんでした。 「う〜ん難しいですね」と考えました。 ちゃんとした着物になれば、実際には存在しないでしょう。 ですが、お客様の素直な気持ちだと思いましたし、 私も若輩者なので、せめて共感?その気持ちに寄り添うのが自然な対応だったのです。 (くそ真面目を笑って下さい。)もし、手に届く値段の着物があったら。  洋服のように選択肢が多ければ。 初対面のかたに、あなたならどんな言葉をかけるでしょう?

しかし、黙って解決案が話せない私に、 「なに? 冗談に決まってるじゃない!」 ここで、急にご立腹。どうやら、サラリと流してあげるのが正解でした。 そんな事(着物の相場)くらい当然わかってる、 失礼しちゃう、私に恥をかかせた、不快だわ。というのが、 本心だったのでした。一方的に不満をまくし立てて帰って行かれました。

当店は冷やかしで来店されるかたは滅多にありません。 珍しいとはいえ「冷やかしさん」に叱られてしまいました。ですが、 ユーモアがなくて馬鹿にしてしまったと、考えることも出来ます。 ヒマつぶしの冷やかし行為には、お互い注意しましょう。。

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