きものには、独特の表現があります。
それは伝統文化を内包しているので、着物を眺めていると日本文化を鑑賞している気分になります。
洗練され、完成されたスタイル。
一方で、完成された美よりも、自己表現の自由を受け入れるゆとりがあるほうが、良い時もあります。
だれでもアレンジが簡単にできるように、シンプルであると可能性が広がるのです。
日常的に受け入れやすいし、生活の中に溶け込んできます。
下写真は、色無地のきものです。
江戸小紋三役といわれる代表的な紋様で、家紋を入れられる格の高さもあります。
色無地の着物や伊勢型の小紋は、晴れ着としては地味ですが、むかしからオールラウンダーといわれます。
コーデの幅がある着物なのですね。そして、初心者でも安心できるシンプルさがあって、
よくよく見れば精緻な手わざの結晶と知れるところは玄人好み。
一見、ものたりない着物には、着る人がイニシアティブをとる「ゆとり」があります。