【2】世間はきものを待っている!

<第35回 成人年齢改正と「はれのひ」事件>

今月の話題は「成人年齢改正」です。2022年4月施行が決まりましたので、 23年以降の成人式は…どうなるでしょうか?
きもの業界の変化を解説・予想してみます。 自分の仕事が試されていますし、子どもがある人に参考になるかも知れません。

まず、いまの状況整理です。きものマーケットが縮小するなかで、 振袖はおよそ4分の1〜5分の1を占める大切なアイテムです。 きものマーケットはわずか2800億と言われますから、華やかにみえる業界がいかに深刻な状況か ご理解いただけるのではないでしょうか。 きもの業界が不安に思うことは、振袖のマーケットが影響をうけること。 端的にいえば、高校3年の1月という忙しい時期に消費意欲がそがれるのは間違いないです。 振袖のマーケットが消し飛ぶ恐れがあります。 大げさではなく、5年・10年単位の変化が一度に起こるでしょう。 客単価の激減が一気に加速すれば「もうからない」訳です。産地メーカー、問屋など、物量をあつかう規模のおおきいところ、 規模のおおきい小売店ほど影響があって、倒産の危険性もあると思っています。こうした状況のなか、 これまで通り二十歳で成人式をやってほしいという要望があります。苦肉の策の「ハタチの集い」ですね。 これは出席側、主催側ともに助かる案でもあります。 個人的には、着物がガラパゴス化してほしくはありませんが、儀式としての重みが軽くなるような気がします。。
さらに忘れてならないのは、今年は「はれのひ」事件がありました。振袖に特化した着物屋、チェーン店などのリスクが表面化して います。今後ますます危ないのでは??じっさい、成人式ビジネスは単価が高額で、予約から数カ月のスパンがあります。 どこにトラブルが潜んでいてもおかしくないのです。

ウチのような零細店は振袖に特化しない、できるだけ従来の商売を守る方針が、功を奏しています。 いいかえると、昔のやりかたが変えられないww  私がチェーン店で働いていたことも理由です。リスクのある着物屋を見ていたからです。
話がそれましたが、零細店でも、業界の影響やリスクは当然あります。 「振袖えらびは信用のおける店で」行きつく先は抽象的なアドバイスになってしまいますw  個人的に思うのは、実店舗があること、顔がみえること。 地域とつながっていること。こうした点は営業利益に直結しないので、逆に店のスタンスがわかります。 お客との関係が続きやすい、壊れにくい。廃業・撤退・夜逃げ?!が比較的おこりにくいww  信用の目安かも知れません。

ウチの子の成人式は、どんな風景になるのかな???

◆「はれのひ」事件の続報
負債が10億超で資産は1600万程と判明、社長が粉飾決算の詐欺容疑で逮捕されました。 粉飾で不正融資をひきだし、無理な経営を拡大させたということですが、本質はもっとタチが悪いです。 成人式当日に消えたことが第一。さらにお客への謝罪をせずに身を隠し逃げ回ったこと。 お客にたいしての詐欺というのが実態です。今年の成人200名プラス来年以降の900名、被害の大きさに驚きます。 成人式に特化した着物ビジネスは華やかで、利便性もリスクを隠します。万が一は起こらないと誰もが思います。 (どんなビジネスでも言える?そんな時代かも知れませんが)着物えらびに関しても注意が必要です。 市場がシビアなのだから、旨い話しはありません! 立派なカタログやDM(ダイレクトメール)、過剰なサービス。消費者をおどらせることより 「なぜ着物か。成人式や振袖の意味は?」これを問い直すことが大切ではないでしょうか。

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