【3】「きもののはなし」

<<第六回 愛知の工芸品 弐 >>

名古屋友禅 京都の「雅」加賀の「華」に対し、特徴は色数を制限した、「渋」にあると言えるでしょう。 当地方の気風を反映し、白を交えて色の濃淡を強調し、奥行きをあたえると共に落ち着きのある上品な 色調に仕上げています。尾張の基本政策「質素倹約」の励行が今日の技術技法の礎なのです。

名古屋黒紋付染 慶長16年、尾張藩紺屋頭の小坂井新左衛門が藩内の呉服、旗、などの製造にあたったことが始まり。 独特の紋当網付技法により、紋部分も艶と深みのある黒の美しさと堅牢度の高さを持ち、評価を受けています。

瀬戸染付焼 文化四年(1807)加藤民吉がこの地で技術技法を広めたのが起源です。 素焼きした生地の表面に直接筆で呉須絵具の藍色を基調とした色彩で繊細な自然画・鳥・花などを描く技術、さらに 潤いを持った仕上がりにする為に独特の焼成法「ねらし」(一定時間窯の温度を高温のまま維持)に特徴があります。

尾張七宝1830年頃(天保年間)尾張国海東郡服部村の梶常吉がオランダ七宝を分析し、 製法発見、改良を加えたのが始まりとされています。一般に焼き物といえば陶磁器のように土を形成して 焼き上げますが、この七宝焼きは銅または銀の金属素地を用い、その表面にガラス質の釉薬を施し、花鳥風月、 風景などの図柄をあしらったところに特徴があります。特に図柄の輪郭となる部分に銀線を施す有線七宝は 尾張七宝の代表的特徴です。

名古屋仏壇 特徴は台が高く、水害から守ると同時に諸仏具を合理的に配置、収納できます。 また、宮殿御坊造りを代表とした豪華な作りも、この地方の信仰の高さを物語っています。

三河仏壇 精巧な彫刻が特徴のほか、この地方が押入に仏壇を安置する習慣に合わせた工夫が随所に見られます。

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