きものの表情はその土地でさまざまに違います。 そこで、コラムのなかで少しずつ紹介していきましょう。 まず、いちばんに日本の最南、沖縄のきものです。 昨年秋に当店では「美の彩り 沖縄展」と題して個展を開きました。 NHKの「ちゅらさん」、沖縄サミット、本土復帰30周年、 そして久米島紬500周年として、どうしてもやりたかった企画。 沖縄のきものは、その明るさや大胆さ、開放的なイメージで独自のポジションを占めているのです。
●沖縄の着物の種類 南国のエキゾチックなきものには、伝統工芸指定になっている物がたくさんあります。 芭蕉布・宮古上布・琉球紅型(写真右)・首里花織り(写真左)・八重山ミンサー・読谷山花織り・ 久米島紬・琉球かすり。 この地方のきものは、「光が染め、海に映える」自然にたっぷりと育まれた着物です。
●沖縄の歴史と着物 おきなわは大陸との窓口です。 その昔、琉球王朝時代より交易が盛んで、歴史背景に独特の特徴があります。 つまり沖縄の着物は、日本と中国大陸の両方の影響を受けた文化に根ざしているのです。 観光地としての沖縄の人気は、そのまま着物の中でも見受けられるのです。
(びんがた) |
カラフルな色彩。コントラストが美しい、鮮やかな南国のきものです。 黄の地色が格が高いとされています。 | 琉球王朝が好んだ織り模様。 | 明るいデザインの細帯。 | 独自のかすり模様。久米島にも見られる、鳥・川・花などを 幾何学模様的に表現したものです。 | 素朴であたたかみのある着物。 植物染料で100%染めており、色アセにも大変強い特徴があります。 | 宮古上布 |
盛夏のきもの。芭蕉布は伝統ある沖縄最古の織物で、大変高価! |
●その人気は? 2つの魅力。 沖縄の気候を考えれば、きものは「盛夏」、真夏限定という感じを受けますが、 実際には袷の着物として、通年着られるアイテムが多数あります。 振袖、小紋、つむぎ、訪問着。紅型、花織りの独自のデザインは江戸時代には既に全国に普及しました。 紅型は最も有名なきもの。ちなみに京都で作られるものを「京都紅型」「京紅」といいます。 また、ぜいたくなシャレ物としての魅力も健在です。真夏だけに着る、絽や紗の「透けもの」です。 琉球かすりなどは、盛夏にピッタリ。セレブで好印象な装いですね。
沖縄のきものは、幅広い魅力と、独自の(それも違いがはっきり分かる)味わいの 作品なのです。ご相談・お問い合わせは当店でも、受付けております。