【1】もっと自由に着よう

<第六回 きものはボディコンシャス>

きものの魅力のひとつは、「品の良い」色気です。 「異性に対しての印象が格別!」とこれまで何度も書いてきました。 今回は色気に関する意外な視点でお話しします。

きものはタオルなどで補正をして着ることが多いので、次のような意見があります… 「きものは寸胴がキレイに見えるのでスタイルが生かせない。せっかくの細いウエストも、つまらない。」 事実、長所として、きものは体型を隠してくれると話をする事もあります。 きものは洋服のようなセクシーさに欠けるのでしょうか?
 しかし一方で「それでもやっぱり、女性的な魅力を感じる!」というのが僕の直感です。 良し悪しは別にして、色っぽさを否定したくない!という気持ちもあります。 そうしたところ最近、ヒントを見つけました。 ある雑誌で「きものは体型を隠すと思っていらっしゃる方が多いようですが、 とてもボディコンシャス。」 という文章があり、単純にうれしく思ったのです。(これは女性からの意見でした。) なで肩がいいと確かにいいます。「すそつぼまり」も着付けのポイント。 そして次のような解釈があります。「着物は体との間(すきま)が少ない衣服なので、 洋服と同じように「その人に合わせて」着付けるもの。」 おそらく和服の着方(きかた・着付け)は、画一的なものではない? 着付け教室が普及した今、着付けの多様化は感じにくい。 ですが、補正をしない着付けもアリなはずです。普段着だったむかしは、 窮屈でない、苦しくないのは当たり前でした。(下着も付けなかった) 今でも出来るだけラクに着たい時はあります。

ある年配のかたが「私は痩せすぎているので、かたもの、紬ばかり着ています。 特に大島つむぎ。」と言うのを聞いたことがあります。生地にハリがあれば体型はかくれる。逆にいえば、 たれものを着れば体のラインが出やすくなることを意味します。 もっと言うと、体のラインに無頓着な着方もアリではないでしょうか? (青森ねぶたの)ゆかた・長羽織(激しい踊り衣裳)の「ルーズさ」を認める自由が あってもいい!きものの面白みや可能性を広げたい。 着物はデザインが基本的に一緒ですから、変わった観点で話をすると楽しいですね。 (ファッションです。)

きものでセクシーさを感じることは、他にもあります。
首すじ、襟足の美しさが際立ちます。また、白足袋にドキッとします。 男性のなかには、帯をくるくる回したい衝動や、身八口から手を入れたい衝動、不謹慎ですが、 喪服姿にドキマキする事など…よく言われることを付け足しておきます。

最後に、「色っぽさ」といえば、覚えておきたいことがあります。 それは…動き、所作に気を使う姿、姿勢、立ち居振る舞いそのものが、素敵な魅力ということ。
洋服と違い、きものは「きものに合わせて、体をなじませる」色気もあると思うのです。

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