【3】「きもの のはなし」

<第41回 寒染め 初売り 初仕立て…>

きもの屋特有のコトバでしょうか? 昨年、恵比寿講(えびすこう)という売り出しをしましたが、 あまり聞かなくなった名称になりました。

「恵比寿講:えびすこう」とは、五穀豊穣や商売繁盛を感謝する催し・売り出しです。 実りの秋の神無月に、留守神様のなまえを由来にしているようです。 (11月は、ほとんどの神様は出雲大社に集っているからです。) 江戸時代から、商人はお土産をふるまって「恵比寿講」を大々的に催した記録がのこっています。 そこで、当店もお土産(魚沼産コシヒカリ)を用意して、伝統的なイベントにしました。

「寒染め:かんぞめ」とは、2月から3月頃の一番寒い時期に染め物をすることです。
この時期は、水が綺麗で染め上がりが美しく仕上がるので、特にお勧めされてきました。 今でも原理は変わらないです。場合によっては、雪解けの水も含めて期間が多少長くなります。 喪服・色無地などの「ご注文を受けてから染める着物」が適しているでしょう。

「初仕立て:はつじたて」とは、年の初めに着物を誂えること。「初売」とセットになることが 多いですね。縁起が良い仕立物と考えるので、新しい着物を作るのが喜ばれます。 古物のお直しに比べて、仕立て屋さんも気合いが入るようです。

「初荷:はつに」・・・最後に紹介するコトバですが、今では喜ばれない事だと思います。
簡単にいえば「送りつけ商法」。注文を受けずにお届けする、 かなりお節介なサービスだったらしいです。昔はすべての物資が足りていませんでした。そんな 時代背景があったのかも、知れません。

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