【3】「きもの のはなし」

<<第40回 コーディネイトのご相談 >>

コーディネイトは技術です。お客様に満足してもらえるような着姿を提供する、これは当然 のことですが、実際は簡単とは限りません。最近も例がありましたので、ご紹介しましょう。

着物に合う和装小物を探しているお客様がいました。 「訪問着を結婚式に着て行く」という、よくある場面でしたが、 コーディネイトについては、稀なケースだったのです。
たまたま着物をご持参だったので、(これが良かった)見せていただくと、 お洒落な着物で、訪問着ではなく実際は小紋だったのです。しかも少々個性的で、 全体的に見るとモノトーン系、所々ブルーが印象的。 こういった着物は平凡なコーディネイトではダメになってしまいます。 そこで、重ね衿は濃いブルーにラメ糸が織り込まれた品をあわせていただきました。 もし話を聞いただけでは間違った品を勧めていたでしょう。 ときには、お客様が自分の着物の種類(小紋とか訪問着とか)を間違えていることも あります。当店も確認できて幸いでした。

フォーマルなシーンでは着物にも「型」があってコーデは比較的簡単なのですが、 マニュアルや基本パターンに収まらないこともあります。 着物の種類に素材、着る人の年齢や立場、イメージしている姿、 着る場所、季節やシチュエーションによっても変わります。(難しく感じますか?) きもの好きの意見をいえば「だから面白い」ww  こうした条件のそれぞれに 人の感性を豊かに働かせること。無限のコーディネイトを創造できること。 そして、正解は一つとは限らない。楽しいことなんですw。

コーディネイトを上手にするために心がけていることも書いておきます。
私は出来るだけ実物(きもの)を見る、 お客様のお話を沢山聞かせてもらうように努めています。(質問が失礼だったらすみません) そしてコーディネイトを間違わないコツは実際に合わせてみることです。 そもそも、お持ちの着物を具体的に説明してもらうのは難しいですし、 きものの微妙な染色は写真映りでも変わってしまいます。  あとは、経験回数が決め手です。(ウチの女将のセンスには、舌を巻きますw)

もし、言いにくい事があっても、ウチの女将は誤魔化しません(苦笑)。 たとえば、ある雑誌に 「50才台になれば、どんなに好きでもチープ過ぎる和服は許されない」と書いてありますが、 面とむかっては、なかなか言いにくいでしょうね。お客様に納得して、満足してもらえるよう、 日々、真摯に向き合っております。

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