【2】世間はきものを待っている!

<第25回 世代間ギャップを埋めるには?>

ご来店くださるお客様には着物への愛情があります。 世代をこえて受け継ぐためには、時代というハードルをこえなくては。 まず、お客様の戸惑いの声を紹介します。
「せっかく高い着物を買っても、着る機会ないでしょ。」 「絹じゃなくても(合繊でも)良いでしょう?」 「レンタルよりは良いでしょう?」 「着物を直すのもお金が結構かかるのね。」

晴れ着は本来高額です。冠婚葬祭の機会も限定されます。 もちろん、それはご存じと思いますので、こうした意見を単純にケチだというのは間違いです。 こんな率直な話をされるのは、50才以上のかたが多いようです。 子、孫の世代に、ご自身の若い頃と同じやりかたや支援がふさわしいか、疑問を感じるのでしょう。 間違いなく、価値観の変化が起こっています。 豊かな時代になったこととは逆に、簡素に済ましてしまうのは不自然かも知れません。 これは着物が好きとかキライということではなく、時代の変化が生むギャップです。

「ハレとケ」。ここぞという人生の節目や想いのために、日常を抑える。そんな考え方は薄れました。 合理的経済的な考えと、文化的なきものは相性が良くない?のかも。 ですが、わざわざ足を運んでご来店されるのは愛情を持っている何よりの証拠です。 「世代をこえて伝えなくてはならない想いがある」こと。
ギャップを埋めるためには、着物に向き合う機会をつくることです。 私はお客様の想いを聞きながら、しきたりやルールは強制されるものではないことを確認しています。 式、行事、文化のエッセンスをどれだけ人生に反映させるか。正解はありません。 節目に振り返ってみることが大切な作業ですね。 伝統文化には時代をこえる力があります。 本来の由来、着物、晴れ着に込められた意味は、縁起を呼び、幸せをねがう想いです。 着物屋の考えではなく、お客様の「想い」がすべてだと思います。

【ぞうり一つに物語があります】 ハナオ交換のお客様。どう見てもボロボロの草履でしたが、 思い入れがあるそうで、あずからせて頂きました。 「むかし、母とお揃いの布をつかって製作してもらったオリジナルで…」 本来は消耗品ですが、一度きりでも良いから使いたいと言われれば、応えなくてはなりません! (もちろん新しいぞうりを購入するほうが合理的です。) ほっとしたのは、他店の3分の1の費用で対応できたこと。こうした事例は本当に多いです。 着物もぜひ、ご相談ください。

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