【3】きもののはなし

<第51回 大手チェーン店のゆくえ>

2016年8月18日の新聞より。「ユニーGHD、さが美の株式を投資ファンドに売却」。 さが美はきものチェーン店の大手企業です。前身がユニーの呉服部門だったことで、 ユニーとは切っても切れない縁があったのですが、ファミマとの経営統合をひかえて赤字部門の整理をする、という流れですね。 さが美という着物屋は私も縁があります。もう20年前ですが3年ほど働いていましたから。 その当時を思い出したり、退社後も、リストラのニュースだったり東京ますいわ屋の吸収合併のニュースなど注目してきました。

今回、投資ファンドによる企業再生がどう行われるか、また注目です。 個人的に多くの意見がありますが、ひとつ言えるのは、規模より中身ということ。 昔、さが美が300店超の頃に感じたことは、今の私の店に大いに参考になりました。 そして、さが美は(リストラで)半分以下になりましたが、まだ時代に対応しきれていません。 ここからは次の段階でしょう。業界全体が同じ課題をもっているように思います。

着物は文化的な色合いが濃いので、単純な物販では根本的にまちがっていると思います。 親子にわたってお付き合いしていただける、長い商い。 家業店はスクラップ&ビルド理論なんて認めませんし、多重ローンなんていう営業もNGです。 小さくても信頼のある商いが基本です。もちろん良い品もお勧めしますが、お客様にあわせるサービス業だと思っています。

企業の展開としてチェーン理論は間違っていません。ただ、大量生産と販売をもとにした仕組みには限界があります。 趣味性が高いもの、多様な品揃えやサービスが必要なときには機能しません。 お客様のニーズが変わってきた以上、小回りの利きやすい体制と、多様なサービスができるための専門性ある経験をつむこと。 当店が比較的自信のあるところですw

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