【3】「きもののはなし」

<<第五回  愛知の工芸品 壱 >>

愛知県の「伝統工芸品」について、ご紹介しましょう。 永い年月に培われ、生活に豊かさと潤いをもたらす・・・私たちの文化。

有松・鳴海しぼり しぼりの起源は奈良時代までさかのぼりますが、この地に広がったのは慶長年間(1596〜1615)名古屋城築城の際、九州豊後の大名が連れてきた 人に伝えられ、竹田庄九郎が手ぬぐい(豆絞り)を「九九利絞り」として売り出したのが始まりといわれます。 尾張藩の厚い保護のもと発展し、東海道の代表的な土産物として、広く知られるようになりました。 この味わいを醸し出すのは400年の歴史で生み出された「括り(より)」の技法です。 「蜘蛛絞り」「嵐絞り」「雪花絞り」・・・百種にも及ぶ技法によって、 染まる部分、染まらない部分の絶妙のコントラストが生み出されています。 現在、絵羽織、訪問着の絹物から木綿の浴衣まで幅広く生産されています。 最も手間がかかるのは「鹿の子絞り」。総絞りの振袖は16万〜18万ともいわれる数の絞りを要し、 その贅沢さから、江戸時代たびたび禁制品になりました。熟練した職人でも1時間に100粒程度、振袖一枚に 一年かかることもあります。1粒の大きさは2ミリ。四つに折り畳んだ布を絹糸で絞ります。

名古屋桐箪笥 屈指の良材「飛騨桐」を使用します。他産地より20センチほど幅広でくぎはヒバ製を用います。 金具は豪華な物が多く、湿気を防ぎ、火にも強い高級品として有名。新潟県の加茂、埼玉県の春日部と並んで 三大産地の一つとなっています。

常滑焼 その起源は平安時代までさかのぼる、六古窯のひとつ。無釉焼き締めの壷・甕・鉢を中心とし、 時代と共に多様な製品を生みだしています。日常生活具、工芸品があります。特に鉄分を赤く発色させる朱泥は代表作。  

赤津焼 六古窯のひとつ。奈良時代前期に始まり、安土桃山時代には現在の技法が確立。七種の釉薬と十二種の 多彩な装飾技法で茶道具、花道具から家庭用品に至るまで使われています。

豊橋筆 使いやすさは、その製造の工程の中「練りまぜ」という特徴から生まれ、高級品となっています。

岡崎石工品 この地方から産出される良質の花崗岩を使用して神社、仏閣の燈明用 に生まれました。現在では庭園装飾用にもなっています。石どうろうは直線と曲線の単純な美しさが その交差によって生み出す微妙なニュアンスをもち、繊細な優美さをたたえています。

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