今年の着物業界を振り返ってみました。(題名は、ワールドカップ主題歌をもじってます♪ 商人の一分は、信用です。)

【2】世間はきものを待っている!

<第15回 A QUESTION OF CONFIDENCE >

2006年は、偽装建築などの不信が蔓延しました。

今年は「愛染蔵」「たけうちグループ」が相次いで 問題になり、社会に大きな波紋を投げかけました。過剰販売、強引な契約。 一年を通じてこの話題から書かなくてはならないのは大変悲しいことです。 業界としても、産地や流通に、信頼に痛手を受けましたが、 このような会社は無くなって正解、です。「入りやすい着物屋ほど、恐い。」これは私が感じること。 大手のショッピングチェーン店は、量販店にテナントとして入っていて、 気軽に立ち寄ることが出来ます。たいして用事もなく、見て回ることができますが 落とし穴があるのです。 また、これらのチェーン店は社員やパートの店員がしょっちゅう変わります。 売り上げ最優先がモラルの無い行為に及んでいるのでしょう。 プロとしての専門知識も疑問点が見えます。

【格差社会】を反映して、きもの業界も中間的なモノづくりが 難しくなってきそうです。「日本の絹」マークが誕生、偽装に対するお墨付きですが、 これは危機的な現状の裏返し。 どうとらえるか・・・今年話題になった、インクジェット染色技術 ・・・これも賛否が分かれました。

一方で、着物本が多種多様に世に出てきました。 (このコラムが必要無いくらい?) いわゆるアンティーク「ブーム」は終わりましたが、 生活に密着した「楽しみ方」「つきあい方」へ。人気が続きそうな様子ですね。 従来の「親からのアプローチ」が「本人からの積極的なニーズ」へ変化もありそう。 また、今年から始まった「きもの検定試験」は予想を超えた申し込み。 当初の東京、京都会場だけでなく、他の全国都市で受けられることになりました。

そして、相変わらず、いじめ・自殺等の問題が続いています。 つながりの希薄になった現代社会では、絆(きずな)作りを意識しないと、 もう、どんどん孤立する方向を止められません。 着物という衣装は、本人のファッションという一面のほかに、準備・着用を通して 周囲の人間関係に対する配慮、敬意、を大切にします。想いを表現することが出来ます。 また、冠婚葬祭も社会の秩序、規範の最たる物です。着物文化が欠かせない分野は礼儀や道徳にも 重なっています。着物を持つ価値・・・ 社会的に失われようとしている「絆」を取り戻す道具かも、知れません。

いつの世も?「偽」「絆」は、すぐそばにあって、なかなか見えません。 ですが、今年はたいへん考えさせられました。。 当店は、商店街や近所つきあいの中で、地道に「商い」をしています。 先述の、無理な販売行為など、もってのほか! 不信感を持たれたり、無責任な対応は絶対にできません。 「あこがれの着物ライフ」は、ちょっと手を伸ばせば、つかめるハズ。 当店の使命です。

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