【3】「きもの のはなし」

<第18回 江戸こもんの「粋」(いき) >

今年は江戸開府からちょうど400年。 全国各地のきものから、「江戸こもん」をお話しします。 シンプルで、モダン。さらりと装う江戸小紋は、色無地がわりにもなる「着物の定番」。 根強い人気のある着物です。まずその魅力は、幅広く使いこなせることです。 初心者でもきもの通でも、フォーマルでもカジュアルでも装うことができます。 伝統的な江戸小紋は三重県の伊勢型紙を使って 作られていて、遠目にはシンプルな着物ですが、よくよくみると精緻なデザインに 凝りに凝ったワザと品格を感じます。 江戸小紋は、大名の裃(かみしも)によって飛躍的に発展しました。 諸大名が自藩の「定めこもん」を裃に染めたことから、図案・彫り・型付け・染めにこだわりを持ったのです。 そして、プライドをかけて競ったことが大衆に広がって「日本生まれの日本育ち」になりました。

さりげないところにこだわる。江戸の粋は、都会的なセンスです。 その当時、江戸は世界有数の大都会でした。都会から生まれた美的感性・欲望は群を抜いていて、 デザインの多様さに驚きます。有名な「角通し」「鮫」などの他に数百〜無数の図案が あり、また細かな図案の他に、大柄な図案もあるのです。都会のニーズの大きさが分かります。 そしてあくまでも、華やかな色彩ではなく、また仰々しくもない。だれでもチャレンジできるお洒落。 「こだわり」の欲求を満たしながら、一つ紋を付けておけば改まった席でもOK。 とくに着用のチャンスは、何を着ていこうか迷う時ですね。 「きものを着たいけれど場に浮いてしまわないかな・・?」なんて 心配な時は真骨頂。さらりと都会的?なご使用がおすすめですw

当店40周年創業祭では伊勢型職人さんに来店してもらいました。 そこで製作法についてお尋ねしました。
和紙に柿渋を塗って数枚張り合わせ丈夫にした物、これが伊勢型紙で、5〜6枚一度に彫ってゆきます。 彫り方には、突き彫り・引き彫り・錐彫り・道具彫りがあり、彫刻刀も手作りが求められることもあります。 手作業のあたたかみは、重要無形文化財として大切に残してゆきたい財産です。 しかし、オイルショック以降、やはりこの仕事だけでは食べてゆけないのが現状になっているそうです。

江戸小紋はきもの屋さんなら必ず扱っている定番。あなたの持っている着物コレクションに加えてみませんか? もちろんお問い合わせは当店までご相談下さい。

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