【3】「きもの のはなし」

<<第30回 紅花紬と上杉鷹山 >>

今年のNHK大河ドラマは「天地人」。上杉家が育んだ和服について、インテリジェンスをご紹介しましょう。

「海外でも注目の人物」 上杉鷹山(うえすぎようざん)。日本ではあまり有名ではないですが… 故ケネディ大統領に「日本で一番尊敬する人物はだれ?」とインタビューした時に 即答したのがこの日本人。米沢の産業振興に尽力し、着物業界にとっても大恩ある人物なのです。

名言! 【 為せば成る 為さねばならぬ なにごとも 成らぬは人の 為さぬなりけり。】
有名な格言「なせばなる」の全文です。すばらしい教訓ですね〜!

歴史背景  鷹山は上杉謙信より数えて10代目。最高120万石あった上杉家ですが 徳川の世になり米沢30万石に移封、 さらに藩の疲弊で実質15万石に落ちてしまいます。鷹山はこの危機状態を救うため、 徹底的な倹約と産業振興、とくに養蚕と染織に力を入れました。 置賜特産の青苧を使い、越後から職人を雇い入れて「織り・染め」の技術を 広めたのです。約230年前のことです。

置賜紬(おいたまつむぎ)  置賜紬はこの地方の和服の総称。紅花紬に代表される米沢紬、絣・米琉の長井紬、白鷹御召、 …現在、男性の袴は全国生産の95%を占めるまでになりました。

紅花紬  紅花は赤と黄色の入り交じった花びらで、夏に花を咲かせます。栽培も染織も難しく、昔は高位の人の色でした。 別名は「末摘花」。素朴ですが情熱を秘め、力強さを感じる花です。 【紅花つむぎ・染料づくりの流れ】…花びらを摘むのは早朝です (トゲの柔らかな時間帯)この作業は、朝霧の立ち上る中、幻想的な風景。 花びらを足で揉み、一昼夜発酵させ、臼でつく。…乾燥させたものを紅餅と呼びます。 これは傷みやすい紅花を保管する古来の知恵で、染織作業は冬に行います。 カルシウムイオンが豊富で済んだ水を使い、 黄色の色素を水で洗い流し、灰汁を入れて時間をおく。 (赤色はアルカリ性の液ではじめて発色する性質を持っています。) こうした自然の力とヒトの手を経て染料が出来上がります。
紅花は南方系の草花のため、山形が北限。 紀元前より染料に使われ、遥か中近東からシルクロードを経てきたルーツを考えると、 受け継がれた伝統美の深さを想わずにいられません。

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